江戸糸あやつり人形結城座公演『雀去冬来 -すずめさりてふゆきたる-』

ご挨拶/メッセージ

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7/31~8/6ワークショップ風景

結城座 ご挨拶

今回の舞台には、世界が注目する若き才能—社会を切り取る劇作家ビン・ハオ(結城座に初書き下ろし)と、映像を駆使した舞台に定評ある演出家ワン・チョンの二人を中国から迎えました。
共に結城座とは初顔合わせです。
数年前に彼らの舞台に次なる可能性を見出した結城孫三郎自らの企画で、熱いディスカッションを経てようやく実現致します。
383年の歴史の中、結城座が初めて挑戦するライブ映像と人形芝居が交錯する多元的な舞台にどうぞご期待下さい。

メッセージ

ザオ・ビンハオ (脚本)

初めて人形劇のために書下ろした戯曲が結城座との合作となり光栄に思っています。
人形にキャラクター或いは人形遣いの魂が注ぎ込まれるとこれ以上ないほど不思議な世界になる。
生命の傲慢、でたらめ、煩わしさ、戯れ、妖しさが人形の身体を借りて解き放たれる。
人物のエネルギーは蓄積されると向きを変え、形を変え、幻となり斬新に人を魅了する。
これが人形劇の魅力だ。
演劇の舞台でありがちな硬直したつまらない空洞と凡庸はここでは有りえず、とって替わるのは新鮮で柔らかく比類ない新しい生命。
人形使いと人形は操る者と操られる者の関係ではなくなり、人形の衣装の下は粘土と金属ではなく血と骨となる。

ワン・チョン (構成・演出)

結城座の歴史は長く、383年を歴史の中で日本と中国の間の海を越えたという。過去と現在、中国と日本、いずれも数多くの糸が絡み、切っても切れない関わりがある。現在から過去を思うか、過去が現在を引き留めるのか。
結城座の人形は魔力がある。台湾で人形劇を勉強した時はどんなタイプでも速習できたが、糸あやつりだけは挫折した。難しすぎる。精巧すぎる、細かすぎる。今回糸あやつり人形劇を演出する機会に巡り会うとは予想もしていなかった。しかも383歳の劇団とは。結城座は383歳なのに子供のように好奇心いっぱいで、驚くほど大胆、積極的に外国人と協働作業に挑戦している。年寄りがこんなに腕白なら、演出家として私はどうしようか。
目を見開き、心を解放ち、腕を広げて、好奇心に満ちた大胆な21世紀の演劇を創造しようと思う。